選手おもしろ事件簿 其の4
悲しみの山陰釣行
今回はお洒落なツナギ服がトレードマークだったOBのC先輩のお話。
ある日の朝、競輪場に練習に行くと、ある先輩が
「昨日、飯食いに行った店の大将が山陰でめっちゃ色々な魚が釣れよる所があって、シーバスなんか跳ねまくりよるって言いよったけん、今夜みんなで釣りに行ってみようや?」
と、目を輝かせながらその場に居たみんなを誘ってきた。
そんな釣り天国みたいな場所があるならばと、C先輩は釣りの経験は殆どなかったが、周りにいた5、6名のメンバーと共にその誘いにテンションマックスで参加した。
しかしながら、残念なことに、その情報源の大将は正確な場所を覚えておらず、こんな形の漁港で下関から車でこのくらいの距離で、こんな感じの地名だったと言う朧げな情報しかな持っていなかった、しかし、テンションマックスの集団はすでに何かを見失い突っ走りはじめていた。
周辺には、よく似た地名が2箇所あり、おそらくそのどちらかがその場所だろうとなり、まずは遠い方の目的地へ。
嫌な予感はしていたが、まあ、しょっちゅう街道練習で通る道なので、「そこに行けばすぐわかるっしょ」みたいな、みんな楽観的な考えで、その釣り天国を数台の車に乗り合わせC先輩は単独で目指した。
まず、最初の漁港に到着、あたりを見渡すと大将の言っていた景色と全く違う形の漁港だった、まあまあの距離を走り残念だったが、そこで集中力を切らすものは一人もなく次の目的地に向かった。
随分な距離を戻り、二つ目の漁港へ到着、見た感じの景色はピッタリと一致していたが、辺りはもう既に真っ暗になっていて、釣りのできる場所までは結構歩かねばならないようであった。
しかしテンションマックスの我々は景色の一致に歓喜し、休憩も取ることもなく大急ぎで釣りの準備をし暗闇を歩き出した。
しばらく歩いたところで、C先輩の様子がおかしくなった
「なんか腹いてぇ」
「どっかこの辺トイレないん?」
こんな山陰の奥地の漁港にトイレなんかあるわけはない…
「ああっ!」
「もうダメやん」
「俺ちょっと行ってくる!」
誰に言っているのかわからない声を上げながら、何かを決心した眼差しで漁港の向こう側の暗闇に彼は消えていった…
まあ仕方ないか、トイレ休憩もなくハイテンションだけで突っ走ったのだから、そこに彼の決心を笑う者などいなかった(多分)
そして、我々のテンションマックスはそんなことにも動じず、釣りをするポイントへと歩を進め竿を伸ばした。
さあみんな釣りまくるぜと言おうとしたその時
私の携帯が鳴った
C先輩からである
「どうしました?」
「俺…」
「…帰るわ」
???
「えっ!」
「どうしたんですか!?」
「踏んだ…」
「えっ何を?」
「う◯こ…」
「はっ?」
「…暗くて見えんかった」
「どうゆうこと?」
「自分で自分の◯ん◯踏んだけもう帰るわ!」
「えーーーーっ!」
「大丈夫ですか!?」
(笑っているのバレないように息を吐きながら小さい声で言ったが、一体何が大丈夫なのか分からない)
どうやら真っ暗の海辺での野◯◯でお尻を拭いた後ツナギを着たら前後が分からなくなって躓き、その反動で踏み出した足が力一杯それを踏み抜いたらしくダメージは甚大だったようだ。
あまりの出来事に直ぐにみんなに、ことの顛末を伝え遠くから彼が帰っていく姿を静かに肩を揺らして見送った。(ごめんなさい)
その後、釣り天国のはずなのに何の釣果もなく、ついてない釣行となったが、付かなくて良かったと思ったかどうか、信じるか信じないかはあなた次第です。
C先輩へ
すいませんでした!墓場まで持っていくには重すぎる話だったのでここに置かせていただきました。
絶対に正体はバラしたり致しません!
またいつか一緒に釣りに行きましょう!
