選手おもしろ事件簿

ナッセ見ました事件


私がまだまだ青二才だった二十数年前の出来事です。

当時、小倉競輪の事務所にはタウン情報誌ナッセが数冊置かれており、自由に持ち帰って良かった。

北九州のグルメから美容まで色々な情報が幅広く掲載されていた。

私は体のメンテナンスの為、腕利きのマッサージを探索中で、ナッセに掲載されているお店にも色々と通っていた。


その日もいつものようにバンクにて、父である八谷英樹26期引退のバイク誘導でそこに集まった多くの選手たちと共に練習をしていた。


そして、練習を終え事務所にてナッセをチェックし、今日の疲れを癒す為マッサージを物色、その中に中国経絡整体なる怪しげな治療院を発見、メディアドームから程近い場所に新規オープンしていた。


「よし!ここに行ってみよおっと」

(今なら絶対いかないだろう)


そう心の中で呟き道場でシャワーを浴びて準備完了!


その頃には大勢いた選手たちもみんな帰り道場には誰もいなくなっていた。


先程の中国経絡整体に電話し予約しようと再び事務所にナッセを確認しに行くと…


ナッセがもうない!


事務員さんに尋ねると


「城戸崎さんが持って帰ったよ」


しまった先に予約しておけばよかった!と思うも、城戸崎さんに電話番号見て教えてもえばいいやと思い、電話番号をメモれるように道場のホワイトボードの前に移動し携帯で電話をかけた。


八「城戸崎さん今日持って帰ったナッセに載っている中国経絡整体の電話番号教えて欲しいんですけど」


城「確認してかけ直すからちょっと待って」


ありがたい!さすが尊敬する優しい先輩である!


すぐに

城「093-◯◯◯-☆☆☆☆だよ」


八「ありがとうございます!助かりました!」


私は、ホワイトボードに素早くメモしてその番号に発信

すると、流暢な日本語の男が電話に出た。


年齢、身長、体重、体の状態等基本的な事を聞かれ、それに答えた。


そして、最後にその男が


男「今ならオープンのキャンペーン中なので、ナッセ見たと言ってくれたら30%オフですので言ってもらってもいいですか?」


ああよくあるナッセ見たと言ったら割引してくれるあのパターンねと思いつつ


八「ナッセ見ました」


男「は?ちょっと声ちっちゃくて聞こえない」


八「ナッセ見ました」

少しボリュームアップ


男「まだ足りないですねー」


八「ナッセ見ました」

更にボリュームアップ


男「こちらは30%もオフにするんだからもっと真剣にやってくれないと気持ち伝わらないですよ!もう一声お願いします!」


何をー!と思いつつ


八「ナッセ見ました!」

かなりのボリュームで


男「もっと!」


八「ナッセ見ました!」


男「もう一丁!」


八「ナッセ見ましたーっ!」


男「リズムに乗って!」


八「ヌゥアッスゥエ!見むぅあっしぃぃとぅぁぁぁぁっ!」

最早全開の叫び声である


と同時に


男「そんなに元気ならもう診る必要ないアルネ」プツッ

と突然片言で電話を切られた…


曇天の昼下がり、電気の消えた誰もいない選手道場のホワイトボードの前でしばらく立ち尽くす私…


?………


⁉︎……


!…


ア……


あ…っ…


あ…い…つ…


あいつやりやがったぁぁぁっ!!!


誰も信じられなくなった若かりし頃の出来事、どれだけの選手にこのエピソードを笑われてきただろうか…



悪戯の瞬発力も強かった城戸崎さんに今も警戒心を持って反撃の機会を狙っています。

























501回の閲覧2件のコメント

最新記事

すべて表示